「他」と「外」の違いとは？初心者向けに例文付きでわかりやすく解説

「他（ほか）」と「外（ほか）」は、どちらも「ほか」と読みますが、意味や使い方が異なります。

日本語を学び始めた方や留学生の方にとって、この2つの違いは少しわかりにくいかもしれません。

例えば、「他の方法」と「外の方法」ではニュアンスが異なりますし、「思いの外」と「思いの他」では意味が変わることもあります。

ビジネスや日常会話で正しく使い分けるためには、それぞれの意味と適切な使用場面を理解することが大切です。

この記事では、「他」と「外」の違いを初心者向けにわかりやすく解説します。

例文やクイズを交えながら、実践的に学べるようにしましたので、ぜひ最後までご覧ください！

「他（ほか）」とは？意味と使い方

「他」は「別のもの」を指す

「他（ほか）」は、ある特定のものや人とは異なるものを指す言葉です。

「別の～」「ほかの～」と同じ意味で使われることが多く、対象の範囲が限定されていません。

例えば、以下のような場合に「他」が使われます。

自分以外の人や物を指すとき（例：「他の人」「他の国」）
ある選択肢以外のものを指すとき（例：「他の方法を考える」）

また、「他」はひらがなで「ほか」と書かれることも多く、特に公用文ではひらがな表記が推奨されています。

「他」を使った例文と解説

「他」を使った例文をいくつか紹介し、それぞれの意味を解説します。

例文	意味・解説
「他の意見を聞きたい。」	「別の人の意見を聞きたい」という意味。
「この店の他に、おすすめはありますか？」	「この店とは別の店で、おすすめはありますか？」
「彼の他に、誰が参加しますか？」	「彼とは別に、参加する人は誰ですか？」

このように、「他」は「あるものとは異なるもの」を指すときに使われます。

ビジネスや日常での「他」の使い方

「他」は、ビジネスシーンや日常会話でもよく使われます。

✅ ビジネスでの使い方

「他の候補を検討しましょう。」（別の候補も考える）
「他の部署と連携してください。」（別の部署と協力する）

✅ 日常会話での使い方

「他に何か質問はありますか？」（ほかに聞きたいことは？）
「他の色はありますか？」（この色以外にある？）

ビジネスでは、慎重な表現が求められるため、「ほか」をひらがなで書くことが多いですが、文章のフォーマルさによって使い分けるとよいでしょう。

「外（ほか）」とは？意味と使い方

「外」は「枠の外」を意味する

「外（ほか）」は、ある範囲や枠組みの外側、またはそれを超えた部分を指す言葉です。

「他（ほか）」が「別のもの」を指すのに対し、「外（ほか）」は「ある範囲の外側」に焦点を当てます。

例えば、次のような場面で使われます。

特定の範囲や基準の外側を示すとき（例：「予定の外」「思いの外」）
「～に加えて」という意味で使うとき（例：「仕事の外に、趣味も大切にしている」）

「外」は「ほか」と読むよりも、「そと」と読まれることが多いですが、一部の表現では「ほか」と読む場合があります。

「外」を使った例文と解説

「外」を使った例文をいくつか紹介し、それぞれの意味を解説します。

例文	意味・解説
「思いの外、テストの結果が良かった。」	「予想していた範囲を超えて、良い結果だった。」
「会社の外で会いましょう。」	「会社の建物の外側で会いましょう。」
「業務の外でも、勉強を続けている。」	「業務の範囲を超えても、勉強をしている。」

「外（ほか）」は、特定の枠を超えるニュアンスを持つため、使う場面によっては「以外」「外部」などの言葉と混同しやすいので注意が必要です。

「外」が使われる場面（仕事・生活での使い方）

「外（ほか）」は、ビジネスシーンや日常会話でも使われます。

✅ ビジネスでの使い方

「業務の外での活動も評価します。」（業務範囲を超えた活動も考慮する）
「契約の外の条件についても相談可能です。」（契約内容以外のことも相談できる）

✅ 日常会話での使い方

「思いの外、道が混んでいた。」（予想以上に渋滞していた）
「学校の外での活動も大事です。」（学校以外の活動も重要）

「外」は、ある範囲や枠組みを超えた意味を持つため、「他」とは異なる文脈で使われます。

「他」と「外」の違いを比較！使い分けのポイント

「他」と「外」のニュアンスの違い

「他（ほか）」と「外（ほか）」はどちらも「ほか」と読みますが、意味や使い方に違いがあります。

	他（ほか）	外（ほか）
意味	「別のもの・人」を指す	「枠の外側」「範囲を超える」
ニュアンス	ある対象とは異なるもの	特定の範囲や制限を超える
例	他の方法を試す（別の方法）	思いの外に速かった（予想を超えた）

「他」は「別のもの」を指し、「外」は「範囲の外」を指すという違いを押さえておくと、使い分けがしやすくなります。

使い分けを間違えやすいケース

「他」と「外」は意味が似ているため、以下のような場面で間違えやすくなります。

❌ 間違えやすい例

「思いの他、テストが難しかった。」（誤）
- 「思いの外、テストが難しかった。」（正）
- →「予想より難しかった」という意味なので、「外」が適切。
「この計画には外の意見も取り入れよう。」（誤）
- 「この計画には他の意見も取り入れよう。」（正）
- →「別の意見を取り入れる」という意味なので、「他」が適切。
「仕事の他に趣味も楽しんでいる。」（誤）
- 「仕事の外に趣味も楽しんでいる。」（正）
- →「仕事の枠を超えて趣味も楽しむ」という意味なので、「外」が適切。

例文で学ぶ！正しい使い分け方

正しく使い分けるために、「他」と「外」を比較した例文を紹介します。

「他」を使う場合	「外」を使う場合
他の人の意見を聞く。（別の人の意見）	会議の外で話しましょう。（会議の範囲を超えて）
他の選択肢を考える。（別の選択肢）	仕事の外で運動する。（仕事の範囲を超えて）
他の方法も試してみる。（別の方法）	予想の外の出来事だった。（予想を超えた出来事）

「他」と「外」の違いを意識することで、適切な言葉を選ぶことができます。

「他」と「外」の類語とは？意味の違いを解説

「以外」「別」「余」の違い

「他（ほか）」や「外（ほか）」と意味が似ている言葉に、「以外」「別」「余」などがあります。

これらの違いを理解することで、より正確に言葉を使い分けられます。

類語	意味	例文
以外（いがい）	ある範囲から除外されるもの	「彼以外は全員参加する。」（彼を除く全員が参加）
別（べつ）	それとは違うもの	「別の方法を試してみよう。」（違う方法を試す）
余（よ）	余ったもの、追加のもの	「余った食材を使う。」（使い残した食材を活用する）

「以外」は「～を除く」、「別」は「違うもの」、「余」は「余ったもの」という違いがあります。

「外部」と「他のもの」は同じ意味？

「外部」と「他のもの」は似ていますが、使われる場面が異なります。

言葉	意味	例文
外部（がいぶ）	組織・範囲の外側のもの	「外部の専門家を招く。」（組織の外にいる専門家を呼ぶ）
他のもの（ほかのもの）	別のもの	「他のものと比較する。」（別のものと比べる）

「外部」は組織や枠組みの外側を指し、「他のもの」は単に別のものを指す違いがあります。

文脈による類語の使い分け方

「他」や「外」、そして類語は文脈によって適切に使い分ける必要があります。

✅ 「他」と「別」の違い

他の意見を聞きたい。（違う人の意見）
別の意見を聞きたい。（違う種類の意見）

✅ 「外」と「以外」の違い

会議の外で話す。（会議の場所以外のところ）
会議以外の場で話す。（会議を除いた場）

✅ 「外部」と「他のもの」の違い

外部の情報を活用する。（組織外の情報）
他のものを試す。（別の選択肢）

【クイズ】「他」と「外」の使い分け

実際に考えてみよう！問題と解答

「他」と「外」の使い分けを、クイズ形式で学んでみましょう！

次の文の（　）に入るのは「他」か「外」か、考えてみてください。

【問題】

この仕事の（　）に、新しいプロジェクトも進めています。
予定の（　）で、会議が長引いてしまいました。
彼の（　）に、誰が参加しますか？
思いの（　）に、試験の結果が良かったです。
（　）の意見も聞いてみましょう。

【解答】

外（「枠の外」の意味）
外（「予定の範囲を超えた」意味）
他（「別の人」の意味）
外（「予想を超えた」の意味）
他（「別の意見」の意味）

クイズの解説：どうしてこの表現になるの？

なぜこの答えになるのか、詳しく解説します。

✅ 「他」を使うケース

「他の人」→ 別の人を指す
「他の意見」→ 別の考えを指す
「彼の他に」→ 彼とは別の誰かを指す

✅ 「外」を使うケース

「予定の外」→ 予定の範囲を超える
「思いの外」→ 予想を超える
「仕事の外」→ 仕事の範囲を超える

このように、「他」は「別のもの」、「外」は「枠の外」を指すというルールを覚えておくと、正しく使い分けられます。

「他」と「外」を使いこなすためのコツ

「他」と「外」の使い分けに迷ったときは、次のポイントを思い出しましょう！

✅ 「別のもの」と言い換えられる場合 → 「他」

他の人 → 別の人（⭕）
他の方法 → 別の方法（⭕）

✅ 「枠の外」「範囲を超える」と言い換えられる場合 → 「外」

思いの外 → 予想を超える（⭕）
仕事の外 → 仕事の枠の外（⭕）

これを意識すると、より自然な表現ができるようになります！

【Q&A】「他」と「外」に関するよくある質問

「ほか」はひらがなで書いたほうがいい？

はい、公用文やビジネス文書では「ほか」は ひらがな表記 が推奨されています。

📌 理由

文章を読みやすくするため
- 「他」と「外」はどちらも「ほか」と読むため、漢字表記にすると混同しやすくなります。
- 例：「他の仕事」と「外の仕事」は異なる意味ですが、漢字だと分かりにくいことがあります。
公的なルールに基づいているため
- 内閣訓令「公用文における漢字使用等について」では、「ほか」は ひらがなで書く ことが望ましいとされています。
- 例：「仕事のほかに、趣味の時間も大切にする。」（推奨表記）

例外として、名詞として明確に「他」「外」を区別する場合は、漢字表記でも問題ありません。

例：「他国（たこく）」「外部（がいぶ）」など

「以外」と「外」は同じ意味？違いは？

「以外」と「外」は似ていますが、意味が異なります。

言葉	意味	例文
以外（いがい）	ある範囲を除いたもの	「彼以外は全員参加します。」（彼を除く全員）
外（ほか）	ある枠の外側、またはそれを超えたもの	「思いの外、結果が良かった。」（予想を超えた結果）

✅ 使い分けのポイント

「以外」は「～を除く」 → 何かを 除外する 場合に使う
「外」は「範囲の外」 → 枠を超えたもの を指す場合に使う

「他に」と「外に」の使い分け方は？

「他に」と「外に」も、意味や使い方が異なります。

言葉	意味	例文
他に（ほかに）	別のものがあること	「他に質問はありますか？」（別の質問）
外に（ほかに）	ある範囲の外側にあること	「この問題の外に、もう一つ課題がある。」（範囲外の課題）