「解く」と「説く」の違いとは？意味・使い方・語源を徹底解説

日本語には同じ読み方をする言葉が多くありますが、「解く」と「説く」もその一つです。

どちらも「とく」と読みますが、意味や使い方は異なります。

「解く」は問題を解決したり、結び目をほどいたりする場面で使われ、「説く」は考えや教えを説明する際に使われます。

この記事では、それぞれの意味や語源、使い分けのポイントを詳しく解説し、実際の例文を交えて理解を深めていきます。

「解く」と「説く」の違いをしっかりと学び、正しい日本語を使いこなしましょう！

「解く」と「説く」の基本的な意味

日本語には同じ読み方をする言葉がいくつも存在しますが、「解く」と「説く」もその一例です。

どちらも「とく」と読みますが、意味や使い方には明確な違いがあります。

ここでは、それぞれの意味を詳しく見ていきましょう。

「解く」の意味と使い方

「解く」は、何かをほどいたり、問題を解決したりする行為を指します。

具体的には以下のような意味があります。

意味	具体例
① 結んだものをほどく	靴ひもを解く、帯を解く
② 問題や謎を解明する	クイズを解く、数学の問題を解く
③ 緊張や誤解をほぐす	誤解を解く、警戒心を解く
④ 契約や約束を解除する	契約を解く、婚約を解く

このように、「解く」は物理的にほどいたり、問題を解決したりする場面で使われることが多い言葉です。

「説く」の意味と使い方

一方、「説く」は、考えや教えを人に説明する際に使われます。

主な意味は以下の通りです。

意味	具体例
① 考えや主張を説明する	理論を説く、哲学を説く
② 人に教えを説く	宗教の教えを説く、道徳を説く
③ 説得して理解させる	友人を説く、部下を説く

「説く」は、相手に何かを説明したり、納得させたりする場面で使われるのが特徴です。

どちらの言葉を使うべきか

「解く」と「説く」は、意味が異なるため、使い分けが必要です。

問題や結び目などを処理する場合 → 「解く」
考えや教えを説明する場合 → 「説く」

例えば、
✅ 「数学の問題を解く」（問題を処理するので「解く」）
✅ 「先生が道徳を説く」（道徳の考えを説明するので「説く」）

このように、文脈に応じて適切な表現を使い分けることが重要です。

「解く」と「説く」の語源と成り立ち

「解く」と「説く」は、それぞれ異なる語源を持ち、時代とともに意味が広がってきました。

ここでは、それぞれの成り立ちを詳しく解説します。

「解く」の語源と由来

「解く」は、古くから日本語に存在する言葉で、「ほどく」「ほぐす」といった意味を持つ「解（ほど）く」が語源です。

漢字の成り立ち：「解」は、「角（つの）」「刀（かたな）」「牛（うし）」を組み合わせた象形文字で、本来は「牛の角を切り落として肉を分ける」という意味を持っていました。
原義（もとの意味）：「何かを分けたり、ほぐしたりすること」
発展した意味：「結び目をほどく」「問題を解決する」「誤解を解消する」など、広い意味に展開

このように、「解く」は「分ける」「ほどく」行為から派生し、現在の多様な使い方へと発展しました。

「説く」の語源と由来

「説く」は、元々は「話して納得させる」という意味を持つ言葉で、中国から伝わった「説（セツ）」という漢字に由来します。

漢字の成り立ち：「説」は、「言（ことば）」＋「兌（とく）」の組み合わせで、「言葉で人を納得させる」という意味を持ちます。
原義（もとの意味）：「言葉で説明し、相手に理解させること」
発展した意味：「思想や教えを伝える」「説明する」「説得する」などの意味に展開

「説く」は、古くから宗教や哲学、教育の場面で使われ、今でも「仏教を説く」「道理を説く」などの表現にその名残があります。

どのように意味が広がったのか

「解く」と「説く」は、それぞれの原義から次のように意味が広がっていきました。

漢字	原義	現在の意味の広がり
解く	ほどく・分ける	問題を解決する、契約を解除する、誤解をなくす
説く	説明する・納得させる	教えを広める、理論を説明する、説得する

このように、語源を知ることで、「解く」と「説く」の使い分けがより明確になります。

「解く」と「説く」の使い分けのポイント

「解く」と「説く」は意味が異なるため、文脈に応じて正しく使い分ける必要があります。

ここでは、それぞれの適切な使い方や間違えやすい表現について詳しく解説します。

状況別の適切な使い方

「解く」と「説く」は、それぞれ以下のような場面で使われます。

シチュエーション	正しい使い方	例文
問題や謎を解決する	解く	数学の問題を解く
誤解や疑念を取り除く	解く	相手の誤解を解く
結ばれたものをほどく	解く	靴ひもを解く
契約や約束を解除する	解く	契約を解く
考えや理論を説明する	説く	先生が倫理を説く
教えや主張を伝える	説く	仏教の教えを説く
説得して納得させる	説く	友人に協力を説く

このように、「解く」は物理的・精神的に問題を解決する場面で使われ、「説く」は考えや理論を説明する場面で使われます。

間違えやすい例と正しい表現

「解く」と「説く」を誤用しやすい例を紹介し、適切な表現を確認しましょう。

間違った使い方	正しい表現	解説
× 先生が数学を説く	○ 先生が数学の問題を解く	数学の「問題を解決する」ので「解く」が正しい
× 彼の誤解を説く	○ 彼の誤解を解く	誤解を解消するので「解く」
× 彼に協力を解いた	○ 彼に協力を説いた	説得する意味なので「説く」
× 帯を説く	○ 帯を解く	ほどく行為なので「解く」

このように、「解決」や「ほどく」といった意味なら「解く」、「説明する」「説得する」といった意味なら「説く」を使います。

ニュアンスの違いを意識する

「解く」と「説く」は、文脈によって意味が大きく変わります。

そのため、単に字面だけで判断せず、文章の意図を理解することが重要です。

たとえば…
✅ 「なぜ戦争は起こるのかという謎を解く」（問題を解決する）
✅ 「平和の大切さを説く」（考えを伝える）

このように、「解く」と「説く」を正しく使い分けることで、文章の意味が明確になります。

「解く」と「説く」を使った例文集

「解く」と「説く」は、それぞれ異なるシチュエーションで使われます。

ここでは、それぞれの具体的な例文を紹介し、違いをより明確にしていきます。

「解く」を使った例文

「解く」は、問題の解決や、物理的・心理的な束縛をなくす場面で使われます。

用法	例文
問題を解決する	この数学の難問を解くのに1時間かかった。
謎や課題を明らかにする	事件の謎を解く手がかりが見つかった。
結び目をほどく	靴ひもを解くと、すぐに脱げる。
緊張や誤解をなくす	彼女の誤解を解くために、直接話し合った。
契約・約束を解除する	双方の合意のもと、契約を解くことになった。

「説く」を使った例文

「説く」は、相手に考えや教えを伝え、納得させる場面で使われます。

用法	例文
考えや理論を説明する	先生は生徒に、環境問題の重要性を説いた。
教えや信念を伝える	仏教では「慈悲の心」を大切にすることを説く。
説得して理解させる	友人を説いて、ボランティア活動に参加させた。

ビジネス・日常会話での応用例

「解く」と「説く」は、ビジネスや日常会話でも頻繁に使われます。

シチュエーション	例文
ビジネス	取引先の疑念を解くために、具体的なデータを提示した。
プレゼンテーション	新商品のメリットを顧客に説くことが営業の役割だ。
上司との会話	「このトラブルを解くために、何か提案はあるか？」
日常会話	彼の熱心な言葉に説かれて、ジムに通うことを決めた。

このように、文脈によって適切な言葉を選ぶことで、正確な意味が伝わります。

「解く」と「説く」の類義語・関連語

「解く」と「説く」には、似た意味を持つ言葉がいくつかあります。

しかし、それぞれ微妙なニュアンスの違いがあります。

ここでは、関連語との違いを詳しく見ていきます。

「解明する」「解決する」との違い

「解く」と関連する言葉として、「解明する」と「解決する」がありますが、それぞれ意味が異なります。

言葉	意味	例文
解く	問題を処理して答えを出す	数学の問題を解く
解明する	不明なことを明らかにする	科学者がウイルスの仕組みを解明する
解決する	問題や対立を終わらせる	トラブルを解決するために話し合った

✅ ポイント：「解く」は問題そのものに対する行為、「解明する」は未知のことを明らかにする行為、「解決する」は対立や困難を終わらせる行為を指します。

「説明する」「説得する」との違い

「説く」は、考えや教えを相手に伝える意味を持ちますが、「説明する」や「説得する」とは異なるニュアンスがあります。

言葉	意味	例文
説く	教えや考えを伝える	彼は正義の大切さを説いた
説明する	物事をわかりやすく伝える	先生が新しいルールを説明する
説得する	相手を納得させる	彼を説得して計画に参加させた

✅ ポイント：「説く」は広い意味で考えを伝える行為、「説明する」は事実や仕組みを整理して伝える行為、「説得する」は相手を納得させるための行為です。

他に似た表現とその意味

「解く」と「説く」に関連する表現は他にもあります。

それぞれのニュアンスを理解して、適切に使い分けましょう。

言葉	意味	例文
ほどく	結び目や束をゆるめる	リボンをほどく
解除する	制限や契約を取り消す	アカウントのロックを解除する
納得させる	相手に理解させる	彼を納得させるためにデータを示した
提案する	新しい考えを示す	会社の方針について新たな案を提案する

クイズでチェック！「解く」と「説く」の正しい使い方

ここまで「解く」と「説く」の違いを学んできましたが、実際の文章で正しく使えるかチェックしてみましょう。

クイズ形式で楽しく復習していきましょう！

次の文章で正しいのはどっち？

以下の文の（　）に入る正しい言葉を選んでみてください。

先生が生徒に倫理の大切さを（解く／説く）。
私は数学の難しい問題を（解く／説く）ことができた。
彼の誤解を（解く／説く）ために、直接話し合った。
友人を（解く／説く）ことで、環境活動に参加するようになった。
彼は長年の研究で、未解明だったウイルスの仕組みを（解く／説く）ことに成功した。

✅ 解答

説く（倫理などの考えを説明するため）
解く（問題を処理して答えを出すため）
解く（誤解を解消するため）
説く（友人を説得するため）
解く（謎を解明するため）

実際の文章で使い方を確認

「解く」と「説く」を使った例文をいくつか見て、感覚的に違いをつかみましょう。

✅ 「解く」の例文

私はクイズの答えをすぐに解くことができた。
事件の謎を解く鍵は、この証拠品の中にある。
彼の緊張を解くために、リラックスできる音楽を流した。

✅ 「説く」の例文

先生が道徳の重要性を生徒に説く。
彼は平和の尊さを人々に説いた。
部長が社員にチームワークの大切さを説いていた。

迷ったときの判断基準

「解く」と「説く」で迷ったら、以下の基準を参考にしてください。

迷ったときのポイント	「解く」を使うべき場合	「説く」を使うべき場合
何かを処理する、解決する	数学の問題を解く	-
結びついたものをほどく	靴ひもを解く	-
考えを説明する	-	哲学の概念を説く
説得して理解させる	-	部下を説く

このように、文脈に応じて適切な言葉を選べるようになると、日本語の理解がさらに深まります。

まとめ

ここまで「解く」と「説く」の違いを詳しく見てきました。

最後にポイントをおさらいし、適切に使い分けるコツを確認しましょう。

「解く」と「説く」の違いのおさらい

「解く」と「説く」は、同じ読み方ですが、意味はまったく異なります。

言葉	主な意味	例文
解く	問題を処理したり、結び目をほどいたりする	数学の問題を解く / 靴ひもを解く
説く	考えや教えを説明する	先生が道徳の大切さを説く