亀は爬虫類？両生類？それとも哺乳類？種類と特徴から詳しく解説

亀は長生きの象徴として知られていますが、実は「亀は何類の生き物なの？」という疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

爬虫類だと思っていたけれど、水の中でも生活している姿を見ると両生類かもしれない…。

もしかしたら、体温が一定に保たれている哺乳類という可能性もあるのでは？

と悩んでしまいますよね。

この記事では、そんなみなさんの「亀の分類」に関する素朴な疑問について、生物学的な特徴や種類からわかりやすく解説していきます。

亀は分類上何類の生き物なのか

亀は地球上で最も古い歴史を持つ生き物の一つとして知られています。

水辺でも陸上でも見かける亀ですが、その分類については多くの方が疑問を持っているのではないでしょうか。

ここでは、亀の分類について詳しく解説します。

亀の分類について

生物学的な分類では、亀は爬虫類のカメ目に属しています。

カメ目は約2億年前の三畳紀に出現し、現在まで姿をほとんど変えることなく生き続けてきました。

カメ目の下には、首曲がり亜目（プロウロディラ亜目）と曲頸亜目（クリプトディラ亜目）の2つの亜目があります。

世界には約300種類の亀が確認されており、日本国内では約15種類の在来種が生息しています。

これらの亀は、生息環境によって大きく陸上亀、淡水亀、海亀の3つのグループに分けることができます。

それぞれの亀は、その生息環境に適応した体の構造や特徴を持っています。

亀が爬虫類(はちゅうるい)である理由

亀が爬虫類(はちゅうるい)に分類される理由には、以下のような特徴があります。

まず、変温動物であり、外気温に応じて体温が変化します。

また、体表が硬い甲羅（角質化した鱗）で覆われており、これは爬虫類の特徴的な体の構造です。

さらに、肺呼吸を行い、卵を産んで繁殖するという特徴も爬虫類の重要な特徴です。

産み落とされた卵は、羊膜卵と呼ばれる特殊な構造を持っており、これによって陸上での繁殖が可能となっています。

亀が両生類ではない理由

亀は水中でも生活できますが、両生類には分類されません。

その理由として、以下のような特徴の違いがあります。

両生類は幼生期にエラ呼吸を行い、変態して成体になりますが、亀は卵から孵化した時から肺呼吸を行います。

また、両生類の皮膚は薄く湿っていて、皮膚呼吸も行いますが、亀は乾燥に強い硬い甲羅と鱗で覆われています。

さらに、両生類の卵は水中で産まれ、ゼリー状の外皮に覆われているのに対し、亀の卵は陸上で産まれ、硬い殻に覆われているという違いもあります。

亀が哺乳類ではない理由

亀が哺乳類でない理由としては、以下のような決定的な違いがあります。

まず、哺乳類は恒温動物で体温を一定に保つことができますが、亀は変温動物です。

また、哺乳類は胎生で子育てを行い、母乳で子どもを育てますが、亀は卵生で、孵化後の子育ても行いません。

さらに、哺乳類は体表が毛で覆われているのに対し、亀は甲羅と鱗で覆われています。

内部構造においても、心臓の構造や呼吸のしくみなど、哺乳類とは大きく異なる特徴を持っています。

爬虫類とは？

爬虫類（はちゅうるい）は、脊椎動物の一つのグループで、以下のような特徴を持っています。

亀の特徴と生態

亀は甲羅を持つ独特な姿が特徴的な生き物です。

その体の構造や習性は、長い進化の過程で築き上げられてきました。

生態や特徴を知ることで、亀をより深く理解することができます。

ここでは、亀の体の特徴や生態について詳しく解説します。

亀の体の特徴

亀の最も特徴的な部分は、背中の背甲と腹部の腹甲からなる甲羅です。

この甲羅は、肋骨と脊椎が変形して作られた骨格の一部で、体の中で唯一の外骨格となっています。

甲羅の表面は角質の鱗板で覆われており、種類によって模様や色が異なります。

亀の頭部には、歯のない強いあごと鋭いくちばしがあり、えさをちぎったり、かみ砕いたりすることができます。

目は横についており、広い視野を持っています。

また、耳は外耳がなく、鼓膜が露出しているのが特徴です。

四肢は爪のある指を持ち、種類によって水かきがあるものもいます。

亀の寿命について

亀はせきつい動物の中でも特に寿命が長いことで知られています。

野生下での寿命は種類によって大きく異なりますが、一般的に小型の種で20～30年、中型の種で50～80年程度生きるとされています。

大型の種では100年以上生きる個体も確認されています。

飼育下では、適切な環境とえさ、健康管理によって野生よりも長く生きることができます。

ただし、寿命は種類や飼育環境、個体差によって大きく異なるため、一概に何年と断言することは難しいのが現状です。

亀を飼育する際は、長期的な視点での計画が必要となります。

亀の食性について

亀の食性は種類によって大きく異なります。

陸上亀の多くは草食性で、野草や野菜、果物などを好んで食べます。

一方、水生の亀は主に雑食性で、水生植物や小魚、水生昆虫、貝類などを食べて生活しています。

えさを食べる頻度も種類や環境によって異なり、活動が活発な時期には毎日えさを食べる一方で、冬眠時期には何か月もえさを食べないこともあります。

また、成長段階によっても食性が変化し、子亀は成体に比べてタンパク質を多く必要とする傾向があります。

亀の行動習性

亀は比較的暖かい気候を好み、日光浴をして体温を調節する習性があります。

水生の亀は、水中で活動する時間が長いものの、定期的に陸に上がって日光浴をする必要があります。

また、気温の変化に応じて活動量を調整し、寒い時期には冬眠をする種も多くいます。

繁殖期には、オスがメスに求愛行動を示し、メスは適切な場所を選んで卵を産みます。

産卵場所の選び方から卵を産むまで、母亀はとても慎重に行動します。

縄張りを持つ種もおり、特に繁殖期には縄張り行動が見られます。

また、危険を感じると素早く甲羅に首や手足を引っ込める防衛行動をとります。

これらの行動は、長い時間をかけて進化の過程で身につけた生き残るための戦略の一つといえます。

亀の種類と見分け方

亀には生息環境によってさまざまな種類があり、それぞれ特徴的な体の構造や生活スタイルを持っています。

正しい飼育や保護のためには、種類による違いを理解することが大切です。

ここでは、亀の種類と見分け方について詳しく解説します。

陸上亀の種類と特徴

陸上亀は、完全な陸生生活を送る亀の仲間です。

代表的な種類として、リクガメ科に属するホルスフィールドリクガメやヘルマンリクガメがいます。

これらの陸上亀は、高くドーム状の甲羅を持ち、太い柱のような足を持つのが特徴です。

陸上亀の甲羅は、歩行時の安定性を高めるために丸みを帯びた形状をしています。

また、乾燥に強く、体内の水分を保持する能力に優れています。

足の構造は地面を歩くのに適しており、爪は太く短いのが特徴です。

食性は主に草食性で、野草や野菜を好んで食べます。

主な日本国内で見られる陸上亀の種類

海亀の種類と特徴

海亀は、海洋生活に完全に適応した亀の仲間です。

甲羅は扁平で流線型、前足はヒレ状に変化しており、優れた遊泳能力を持っています。

産卵時以外はほとんど海中で生活し、数千キロメートルもの長距離を移動することができます。

海亀の特徴的な部分は、ヒレ状に変化した前足で、これにより効率的な遊泳が可能になっています。

また、塩分を排出する特殊な腺を持っており、海水を飲んでも体内の塩分濃度を調整することができます。

多くの種が絶滅の危機に瀕しており、世界的に保護活動が行われています。

日本の周辺海域で見られる海亀の種類

淡水亀の種類と特徴

淡水亀は、河川や池、沼などの淡水域に生息する亀の仲間です。

扁平な甲羅と、水かきの発達した足を持っています。

日本に生息する在来種のほとんどが淡水亀で、代表的な種類としてクサガメやミシシッピアカミミガメがいます。

淡水亀の甲羅は、水中での抵抗を減らすために扁平な形状をしています。

足には水かきがあり、水中での移動に適しています。

多くの種が雑食性で、水生植物や小魚、水生昆虫などを食べて生活しています。

また、定期的に陸に上がって日光浴をする習性があります。

日本で見られる主な淡水亀の種類

亀の生態環境

亀は陸上や水中など、さまざまな環境に適応して生活しています。

それぞれの種類によって好む環境が異なり、その場所で生き抜くための能力を進化させてきました。

ここでは、亀の生息環境について詳しく解説します。

陸上亀の生息環境

陸上亀は主に草原や森林、砂漠など、陸地で生活している亀の仲間です。

温暖な気候を好み、日当たりの良い場所で活動することが多いです。

すみかとしては、岩場のくぼみや低木の下、落ち葉の下などを利用します。

生息地の温度や湿度は、陸上亀の活動に大きな影響を与えます。

暑すぎる時は日陰に隠れ、寒い時期は冬眠場所を探して活動を休止します。

また、えさとなる植物が豊富な場所を好み、広い行動範囲を持っています。

水場へのアクセスも重要で、定期的な水分補給ができる環境を必要としています。

水中亀の生息環境

水中亀は、淡水や海水など、水域で生活する亀の仲間です。

淡水亀は河川や湖沼、水田などに生息し、海亀は沿岸域やサンゴ礁、外洋など、広い範囲で生活しています。

水中での生活に適応していますが、産卵や日光浴のために陸地も必要とします。

水質や水温、水深などの環境条件が、水中亀の生息に大きく影響します。

特に、えさとなる生物が豊富で、適度な水温が保たれている場所を好みます。

また、日光浴ができる岩場や倒木、産卵に適した砂浜なども、重要な環境要素となっています。

野生下での生活

野生の亀は、1日の中でも活動と休息を繰り返しながら生活しています。

朝方から活動を始め、日中は日光浴やえさ探しをして過ごします。

気温の高い真昼は活動を控えめにし、夕方に再び活発に活動する傾向があります。

季節による活動の変化も顕著です。

春から秋は活発に活動し、繁殖や採食を行います。

冬は気温の低下に伴い、活動が鈍くなり、多くの種が冬眠に入ります。

また、野生下では天敵からの捕食を避けるため、常に警戒しながら生活しています。

天敵としては、大型の肉食動物や猛禽類、卵を狙う小型の哺乳類などがいます。

活動時間帯	主な行動
早朝	活動開始、日光浴
午前中	えさ探し、採食
昼	休息、日陰で過ごす
午後	えさ探し、水浴び
夕方	活発な活動、すみかへ戻る

亀の繁殖と成長

亀は卵を産んで子孫を残す生き物です。

その繁殖方法や成長の過程は、種類によってさまざまな特徴があります。

新しい命が誕生し、成長していく様子は、私たちに多くの発見と感動を与えてくれます。

ここでは、亀の繁殖と成長について詳しく解説します。

亀の繁殖方法

亀の繁殖は、通常春から夏にかけて行われます。

オスは求愛行動としてメスの周りを泳いだり、首を伸ばしてアピールしたりします。

水生の亀の場合は、水中で交尾を行いますが、陸上亀は地上で行います。

交尾が成功すると、メスは精子を体内に貯蔵することができ、産卵の時期まで保存しておくことができます。

また、一度の交尾で複数回の産卵が可能な種もいます。

繁殖可能な年齢は種類によって異なりますが、一般的に体が十分に成長してから繁殖活動を始めます。

種類	繁殖開始年齢	産卵回数/年
クサガメ	4～5年	2～3回
ミシシッピアカミミガメ	5～7年	2～4回
リクガメ	7～10年	1～2回

亀の産卵と孵化

メスの亀は、産卵場所を慎重に選びます。

一般的に、日当たりが良く、柔らかい土の場所を好みます。

後ろ足で穴を掘り、その中に卵を産み落とした後、丁寧に土をかぶせて保護します。

産卵数は種類によって異なり、小型の種で3～10個、大型の種では100個以上産むこともあります。

卵は温度と湿度が適切に保たれた環境で、およそ50～90日ほどで孵化します。

面白いことに、多くの亀の種では、孵化時の温度によって子亀の性別が決まります。

一般的に、高温（30～32度）ではメス、低温（26～28度）ではオスが多く生まれる傾向があります。

亀の成長過程

孵化した子亀は、殻の中の卵黄を吸収して栄養を得ながら、自力で地上に這い出てきます。

生まれたての子亀は体長2～3センチメートルほどですが、種類によって大きさは異なります。

最初の数週間は、卵黄の残りを栄養源として生活します。

その後、徐々に自力でえさを取れるようになり、成長のスピードは環境や種類によって大きく異なります。

小型の種では1年で体長が2倍程度になりますが、大型の種では成熟までに10年以上かかることもあります。

また、オスとメスで成長の速度や最終的な大きさが異なる種も多く、一般的にメスの方が大きくなる傾向があります。

成長期には十分な栄養と適切な環境が必要で、特に若い個体は成長が早く、たくさんのえさを必要とします。

亀の飼育方法

ペットとして亀を飼育する場合、その種類に合わせた適切な環境づくりと日々のケアが大切です。

亀は寿命が長い生き物なので、長期的な視点を持って飼育することが求められます。

ここでは、亀の基本的な飼育方法について詳しく解説します。

飼育環境の整え方

亀の飼育環境は、種類によって大きく異なります。

水生の亀の場合は、体長の5～10倍の広さの水槽が必要です。

水深は亀が立ち上がって息ができる程度とし、水温は22～28度に保ちます。

また、陸場（バスキング台）を設置し、そこに紫外線ライトを当てることで、日光浴ができる環境を整えます。

陸上亀の場合は、体長の10倍以上の広さの飼育スペースが必要です。

床材は清潔な土や砂を使用し、隠れ家や日光浴スポットを設置します。

室温は20～30度程度に保ち、湿度は種類に応じて40～80%の範囲で管理します。

また、定期的な清掃と水の交換を行い、清潔な環境を保つことが重要です。

エサの与え方

亀のえさは、種類によって適切なメニューが異なります。

水生の亀は主に動物性のえさを好み、市販の亀用ペレットや乾燥エビ、小魚などを与えます。

一方、陸上亀は植物性のえさが中心で、野菜や草花、市販の亀用の草などを与えます。

えさの量は、亀の大きさや年齢によって調整します。

若い個体は1日1～2回、成体は2～3日に1回程度が目安です。

また、カルシウムのサプリメントやビタミン類を適切に補給することも重要です。

与えすぎは肥満の原因となるので、適量を守ることが大切です。

亀の種類	主なえさ	与える頻度
ミシシッピアカミミガメ	ペレット、小魚	1日1回
リクガメ	野菜、草花	毎日
スッポン	魚肉、ミミズ	2～3日に1回

健康管理のポイント

亀の健康管理で大切なことは、日々の観察です。

元気に活動しているか、えさをよく食べているか、甲羅や皮膚の状態は良好かなどをチェックします。

また、定期的な体重測定を行い、成長の様子を記録することをおすすめします。

病気の予防には、適切な温度管理と清潔な環境の維持が重要です。

甲羅の軟化や白カビ、目の腫れなどの症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

また、冬眠させる場合は、事前に健康チェックを行い、適切な環境で行うことが必要です。

健康管理の主なチェックポイント

亀の保護と課題

世界中の亀類は、環境の変化や人間活動の影響により、多くの種が絶滅の危機に瀕しています。

亀たちを守り、次世代に引き継いでいくためには、私たち一人一人の理解と協力が必要です。

ここでは、亀の保護活動と現状の課題について詳しく解説します。

絶滅危惧種の現状

世界に生息する約300種の亀類のうち、半数以上が絶滅の危機に直面しています。

特に深刻なのが海亀類で、7種すべてが絶滅危惧種に指定されています。

日本に生息する在来種でも、ニホンイシガメやアカウミガメなどが絶滅危惧種に指定されています。

絶滅の主な原因は、生息地の破壊や環境汚染、乱獲、密猟などです。

海洋プラスチックごみによる誤飲や、産卵場所となる砂浜の減少も深刻な問題となっています。

また、地球温暖化の影響で、産卵された卵の性比が変化することも、個体数の減少につながっています。

保護活動の取り組み

世界各地で亀類の保護活動が行われています。

主な取り組みとして、産卵場所の保護や、密漁の取り締まり、混獲防止装置の普及などがあります。

また、傷病個体の保護や、人工ふ化による個体数の回復なども行われています。

日本国内でも、さまざまな団体や研究機関が保護活動を実施しています。

海岸のクリーンアップ活動や、産卵地の保全、環境教育などを通じて、亀類の保護に取り組んでいます。

また、混獲された個体の保護や放流、繁殖地の調査なども行われています。

重要な保護活動の例

ペット飼育の注意点

亀をペットとして飼育する場合、その責任の重さを十分に理解する必要があります。

多くの種が数十年という長い寿命を持つため、飼い主の生活環境の変化なども考慮に入れた長期的な計画が必要です。

また、野生の亀を捕獲して飼育することは法律で禁止されている場合が多く、ペットショップなどで正規に販売されている個体を購入する必要があります。

外来種の遺棄は生態系に悪影響を及ぼす可能性があるため、最後まで責任を持って飼育することが重要です。

飼育前の確認事項	重要度
飼育可能期間	最重要
飼育スペース	重要
必要な設備	重要
餌の確保	重要
獣医療体制	重要

まとめ

亀は爬虫類に属する生き物で、陸上亀、海亀、淡水亀など、さまざまな種類が存在します。

甲羅で覆われた特徴的な体つきと、長寿であることが大きな特徴です。

生息環境に応じて体の構造や生活様式が異なり、それぞれの環境に適応した進化を遂げています。

しかし、現在では世界中の多くの亀が絶滅の危機に瀕しています。

生息地の破壊や環境汚染、乱獲などが大きな原因となっており、保護活動が世界各地で行われています。

ペットとして飼育する場合は、種類に応じた適切な環境づくりと、長期的な視点での飼育計画が必要です。

亀は私たちに多くの発見と感動を与えてくれる生き物であり、その保護と共生は、私たち人類の重要な課題となっています。